ESGポリシーの目的
本ポリシーの目的は、Securis Investment Partners LLPおよびその関連会社(総称して、「Securis」)が、環境、社会、および
ガバナンス(ESG)を考慮した投資判断を行うための手法を定義することです。
ILS
本来、保険は災害から回復し復興できる力や個人の生活に安心と安全を提供し、社会の発展を支える役割を果たしています。
Securisは、2005年の設立以来、保険リンク戦略(ILS)分野の第一人者の立ち位置で再保険を提供してきました。
純粋な再保険リスクを発掘、分析、構造・契約交渉を経て採用された案件を運用ポートフォリオに組み入れています。
損害保険および生命保険の両方の分野で再保険リスクの運用を行います。
•損害保険は、大規模災害の影響を受けた個人、企業の損害の補填を提供します。
多くの損害保険会社は、ハリケーン、地震、洪水、山火事などの自然災害に起因した財物損害リスクを引受け、その対価として
再保険料を受け取ります。
•生命保険は、病気、死亡、または不意の事象が起きた場合に、個人や家族に対する財政的支援を提供します。Securisは、生命
保険会社が保有する保険リスクのヘッジや、販売拡大をサポートすることで、保険会社が保険契約者に対して果たす義務・能力
を支援します。
ILS(保険リンク戦略)市場規模は、過去10〜15年で大幅に拡大しました。これはILS(保険リンク戦略)が(再)保険会社に
対して、資本・財政健全性の提供に貢献したことを意味します。世界は人口増加や長寿傾向、気候変動の環境への影響という課題に
今後更に直面するにつれて、保険が果たす役割の重要度が増します。
Securisは、投資運用プロセスのなかで、ESG(環境、社会、およびガバナンス)の側面を評価するためのフレームワークを
設定しました。投資案件は、ESGの各観点においてA、B、またはCの格付けを付与されます。
Securisが契約する多くの損害保険案件は、再保険と再々保険契約です。Securisのような再保険や再々保険の受再者は、
元受保険会社が引受した保険契約の詳細を直接把握することは容易ではありません。
従って、明確な除外条件を設定したり、明確な除外条件を投資プロセスに入れることは困難です。
環境項目
昨今、気候変動は大きなテーマとなっています。産業革命以降、地球規模の気温が上昇し、海面の上昇、海洋の温暖化、気候傾向の
変化が観測されています。Securisが契約する多くの損害保険案件は気候関連のリスク、特に異常気象事象のリスクを取っています。
地球温暖化は、暴風雨の頻度と深刻度、降水量や洪水を増加させ、また高い気温により山火事の発生を促す可能性があると考えられて
います。Securisは、このような環境変化を、損害保険案件のストレス分析や独自のリスクモデルを調整することで反映しています。
損害保険の再保険契約は一般的に年次で更新されることから、1年単位でリスクモデルと保険料の見直しが可能となります。
環境項目の評価では、投資案件が気候変動リスクに影響を受けるか、また、気候変動リスクがリスクモデルに適切に反映されているか
を検証します。
社会項目
加入しやすい水準の保険料で保険が提供されることは、十分に機能した経済とインフラストラクチャーをもった社会の基本です。
多くの近年の大規模自然災害により、開発途上国における保険普及率の低さが浮き彫りになりました。Securisは、先進国の保険
市場の再保険に焦点を当てているものの、保険普及率の低い開発途上国や十分な保険手当のない災害の災害復興に取り組むことを
目的とした再保険にも取り組んでおります。2つの例を次に示します。
▪米国における洪水保険の加入率は低水準に止まっています。2017年に発生したハリケーン・ハービーによる経済的損害の
約70%は保険がカバーしていませんでした。全米洪水保険制度(NFIP)は、洪水保険を購入できない住宅所有者や中小企業
に対して、政府が助成する洪水保険です。SecurisはNFIPに対して再保険を提供することにより、当該保険制度が大規模災害
発生時に保険契約者に保険金を支払い、長期的に持続可能な制度を実現することを支援します。
▪メキシコは大規模な自然災害が起こりやすい地域です。1996年には、災害救助と復興のための政府基金である国家災害基金
(FONDEN)が創設されました。2009年に当該基金は、世界銀行のマルチキャット・プログラムのプラットフォームを活用し、
メキシコ内の複数の地域とリスクをカバーするキャットボンドを発行しました。これにより、メキシコはハリケーンリスク、
地震リスクを資本市場へ移転することができるようになりました。Securisは当該キャットボンドに投資することで、メキシコ
政府のハリケーンや地震に対する損害補償能力と、効果的な復興のための資金の支援を行っています。
Securisの生命保険リスク投資部門は、グローバルに展開する生命保険会社の資本および資金調達ニーズをサポートしています。
各国の年金制度は大規模な長寿リスク軽減の課題に直面しており、Securisの生命保険リスク投資部門は、年金制度の長寿リスク
移転先である(再)保険会社に対して、効率的な資本のソリューションを提供しています。
また、生命保険・健康保険のグローバルでの加入率の改善を図るためにも、Securisは中小規模の保険会社の成長を支援し、
社会の広範にわたり保険サービスが提供される上で重要な役割を担っています。
またSecurisは、世界銀行およびアフリカ連合(AU)加盟国と緊密に連携して深刻な社会的問題や健康面の課題の解決を
支援しています。
社会的影響に懸念のある投資案件の割合は、Securisが投資対象とするILS(保険リンク戦略)の分野では限られています。
多くのILS(保険リンク戦略)は、社会に貢献しています。社会項目の評価では、投資案件が、社会的に、特に低い保険加入率
の改善に寄与しているかどうか、または、投資案件が社会に悪影響を及ぼす可能性があるかどうかを識別します。
ガバナンス項目
取引相手である(再)保険会社のガバナンスは、投資案件のパフォーマンスに影響を与える可能性があります。質の高い
保険引受能力および経営能力を備えた保険会社との取引は、一般的に良いパフォーマンスが期待できますが、ガバナンス
体制が相対的に劣後する保険会社との取引も、当該リスクが保険料に反映されていれば、投資を検討します。
Securisの投資プロセスには取引相手のガバナンス体制の評価が含まれています。ガバナンス項目の評価は、取引相手である
(再)保険会社が上場されているかどうか、およびその法定住所、懲罰規定とインサイダー取引方針が整備されているか、
不正行為の兆候があるかどうかを考慮します。
責任投資の原則
Securisは、2017年9月に国連責任投資原則(UN PRI)に署名しました。責任投資の原則は、ESG(環境・社会・ガバナンス)
課題と投資の関連性の高まりを理解し、国際的な機関投資家のグループによって起草、公表されました。
私たちは機関投資家として本原則に署名することで、本原則を採用し実行することを正式に約束します。私たちは、本原則が
受益者へのコミットメントを果たす能力を向上させると共に、運用活動と広範な社会利益とがより整合性のとれたものになる
ことを確信しています。
原則1:私たちは、投資分析と意思決定のプロセスにESG課題を組み込みます。
原則2:私たちは、活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESG問題を組み入れます。
原則3:私たちは、投資対象の企業に対してESG課題について適切な開示を求めます。
原則4:私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行されるよう働きかけを行います。
原則5:私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために協働します。
原則6:私たちは、本原則の実行に関する活動状況と進捗状況に関して報告します。
本ポリシーは、セキュリス・インベストメンツ・ジャパン株式会社が、グローバルサイトにおけるESGポリシーを抄訳したものです。英文の原文と翻訳内容に齟齬がある場合には原文が優先します。